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【食材やお重ごとの由来も】おせち料理の意味をわかりやすくご紹介!
目次
お正月には欠かせない特別な食べ物「おせち料理」。豪華な見た目のおかずが並びますが、それぞれの料理や食材、そしてそれらを詰めるお重に込められた意味や由来をご存じでしょうか。
この記事では、おせち料理の基本的な意味や由来から、それぞれの料理の由来まで、わかりやすく簡単に解説します。おせちをご自分で作る方はもちろん、お取り寄せを考えている方も意味を知ることで新年を迎える気持ちがより一層深まるはずです。
「おせち料理」とは?その起源と基本的な意味
おせちとは、漢字で「お節」と書き、季節の変わり目である節句に神様へお供えした料理「御節供(おせちく)」がルーツです。その歴史は古く、平安時代の宮中行事にまで遡ります。本来の「お節」は、節句の際に神様にお供えし、自然の恵みに感謝するための料理でした。やがて、江戸時代にこの風習が庶民にも広まり、一年で最も重要な節句である「お正月」に食べる料理を指すようになりました。
このように、おせち料理は単なる祝い膳ではなく、「神様への感謝」と「人々の願い」が込められた、深い意味合いを持つ伝統的な料理なのです。
新年におせちを食べるのはなぜ?込められた「3つの願い」
新年、特に2025年1月の三が日におせちを食べる習慣には、大きく分けて「3つの願い」が込められているとされます。
一つ目は、その年の豊作を祈る「五穀豊穣」。
二つ目は、子宝に恵まれ家系が続くことを願う「子孫繁栄」。
そして三つ目が、家族みんなが一年を災いなく過ごせることを祈る「家族の安全と健康」です。
これら3つの願いを「縁起の良い食材」を使った料理に託しています。また、お正月には「年神様」という神様をお迎えして、その年の幸せを授けてもらうという風習があり、おせちを食べるのは「年神様と食事を共にする」という意味も持ちます。
「おせちの重箱」段ごとの意味と詰める料理の種類
おせち料理を重箱に詰めるのは、「福が重なる」「めでたさが重なる」という願いを込めた縁起担ぎです。重箱の正式な段数は「五段重」ですが、最近では「三段重」が一般的で、地域や家庭によっては二段や四段(与段)の場合もあります。それぞれの段には詰める料理の種類や内容が決まっており、「詰め方」にも意味があります。
上から順に祝い肴、焼き物、煮物など、中身のメニュー構成が考えられています。この決まりを知ることで、おせちの奥深い世界に触れることができます。
【一の重】祝い肴・口取り|年の初めを祝う肴
一番上の段である一の重には、お正月の祝いに欠かせない「祝い肴」と彩り豊かな「口取り」を詰めます。
祝い肴は、お屠蘇(おとそ)をいただく際に添えられる肴のことで、おせち料理の基本となる「黒豆」、「数の子」、「田作り」の三品が代表的です。これさえあればお祝いができるとされるほど、重要な料理です。
口取りには、「栗きんとん」や「伊達巻」、「紅白かまぼこ」など、甘みがあって見た目も華やかな料理が並びます。一の重は、新年を祝う宴の始まりを告げるとともに、「おせち全体の顔」となる最も大切な段です。
【二の重】焼き物・酢の物|海の幸や箸休めを詰める
二の重には、一般的に口取りや酢の物を詰めることが多いですが、重箱の段数や地域によっては、縁起の良い海の幸を中心とした「焼き物」と箸休めに良い「酢の物」を詰めることもあります。
焼き物の代表格は、「めでたい」に通じる「鯛の姿焼き」や立身出世を願う「鰤(ぶり)の照り焼き」、長寿を象徴する「海老の塩焼き」などです。これらは祝い膳にふさわしい華やかさを演出してくれます。
一方、紅白なますや菊花かぶといった「酢の物」は、その彩りの美しさだけでなく、箸休めとしての役割も果たします。焼き物と酢の物を組み合わせることで、「味のバランスが取れたお重」になります。
【三の重】煮物|家族円満を願う山の幸
三段目である三の重には、山の幸を中心とした「煮物」を詰めるのが一般的です。
代表的な料理は、れんこん、ごぼう、里芋、人参、しいたけといった「根菜」などを一つの鍋でじっくりと煮含めた「煮しめ」です。様々な食材を一緒に煮ることから、「家族が末永く仲良く結ばれ、共に繁栄するように」という「家族円満の願い」が込められています。それぞれの食材にも「子孫繁栄」や「将来の見通し」がきくようにといった縁起の良い意味があり、「家庭の安泰を願う気持ち」が最も強く表れている段と言えるでしょう。
【与の重】「四」を避けた縁起の良い段
四段目は「四の重」とは呼ばず、「与の重」と書くのが習わしです。これは、数字の「四」が「死」を連想させ、縁起が悪いとされるためです。代わりに「与」という縁起の良い漢字を当てています。
この与の重には、二の重や三の重に詰めきれなかった焼き物や煮物、あるいは日持ちのする酢の物や和え物などを詰めるのが一般的です。地域や家庭によって詰める内容は様々で、前の段のおかずの控えを入れることもあります。現代では三段重が主流のため、与の重まで用意されることは少なくなりました。
【五の重】神様からの福をいただくための空の段
正式な五段重の最も下の段である五の重は、あえて何も詰めずに「空箱」にしておきます。
これは、年神様から授かった「福を詰めるための場所(控えの重)」とされており、「将来の繁栄」や「発展の余地」があることを示す、非常に縁起の良い段です。現在、そして未来が「より豊かになるように」との願いが込められています。現代では三段重が主流となり、五の重まであるおせちは珍しくなりましたが、この空っぽの段にも「未来への希望を託す」という古来からの大切な意味合いが残されています。
【これだけは知っておきたい!】定番おせち料理の具材と意味一覧
おせち料理の中身の具材には、一つひとつに人々の願いが込められた意味や由来があります。祝い肴三種はもちろん、たたきごぼうや昆布巻き、紅白なます、菊花かぶなど、縁起物とされる料理の数々は「五穀豊穣」、「子孫繁栄」、「無病息災」といった祈りの象徴です。また、めでたい席に欠かせない鯛(たい)や出世魚の鰤、長寿を願う海老などの海の幸、家族の結びつきを表す煮しめなど、おせちの中のそれぞれの料理の意味を知ることで、お正月をより深く味わうことができます。
ここでは、定番のおせちの具材の由来を一覧でご紹介します。
【祝い肴】お正月に欠かせない3種の縁起物
祝い肴とは、おせち料理の中でも特に重要とされる「3種類の料理」のことです。これさえあればお正月のお祝いができると言われるほど、「欠かすことのできない縁起物」とされています。関東では、「黒豆」「数の子」「田作り(ごまめ)」の3種を指すのが一般的です。
一方、関西では田作りの代わりに、豊年と息災を祈る「たたきごぼう」が入ることが多いです。これらの祝い肴は、一の重の中央に詰められ、おせちの基本を構成します。地域によっては、これらにかまぼこや栗きんとんを加えて「5種類を祝い肴」と呼ぶ場合もあります。
黒豆:まめに働き、健やかに暮らせるように
黒豆には、「まめ(勤勉)に働き、まめ(健康)に暮らせるように」という願いが込められています。古くから、黒色には「魔除けの力」があると信じられてきました。おせち料理の黒豆の作り方には地域差があり、関西では「長寿を願ってシワが寄らないように」と、ふっくらと煮上げるのが特徴です。一方、関東では「しわが寄るまで元気に働けますように」と、あえてシワが寄るように煮ることもあります。黒豆には、新しい一年を健康で勤勉に過ごせるようにという「家族を思う深い祈り」が託されています。
数の子:子宝に恵まれ子孫が繁栄するように
数の子はニシンの卵であり、その卵の数が非常に多いことから、子宝に恵まれ、代々家系が続いていくようにという「子孫繁栄の願い」が込められています。また、親であるニシンを「二親(にしん)」と書くことも「二人の親から多くの子が生まれること」を連想させ、縁起が良いとされています。
塩抜きをしてだし汁に漬け込んだ数の子は、プチプチとした独特の歯ごたえが特徴です。多くの卵が一つの塊になっている様子は「家族の団結を象徴している」とも言われ、新しい年の家の繁栄を祈る重要な一品です。
田作り:五穀豊穣を祈願する小魚
田作りは、カタクチイワシの稚魚(ごまめ)を干して、醤油や砂糖などで甘辛く炒り煮にした料理です。その名前は、かつて農民がカタクチイワシを田畑の肥料として使ったところ、米が豊作になったという逸話に由来します。「五万米」と書く「ごまめ」という別名も、「豊作」を意味しています。
この小さな小魚には、その年一年間の農作物が豊かに実り、食に困ることのないようにという「五穀豊穣への強い祈り」が込められており、農耕民族であった日本人にとって非常に大切な縁起物です。
【口取り】宴の始まりを彩る甘い料理
口取りは、祝い肴と共に一の重に詰められる「甘みのある料理」や「酒の肴になる品々」を指します。もともとは、日本料理の献立で最初に出される「前菜」や「肴」を意味する言葉でした。おせち料理においては、「栗きんとん」、「伊達巻」、「紅白かまぼこ」などが代表的な口取りにあたります。
これらは見た目が華やかで彩りも良く、お重全体を明るく見せる役割を果たします。お正月の祝宴の始まりを楽しく演出し、子どもから大人まで楽しめる品々です。それぞれの料理にも「縁起の良い意味」が込められています。
かまぼこ(紅白):魔除けと神聖さを表す
おせちの定番である紅白かまぼこは、その色合いに縁起の良い意味が込められています。
赤色(実際はピンク色)には「魔除け」や「慶び」、白色には「神聖さ」や「清浄」といった意味があります。この「紅白」の組み合わせは、日本で古くからお祝い事に用いられてきました。また、かまぼこの半円状の形が新年の「初日の出」を連想させることから、お正月の門出にふさわしいとされています。飾り切りを施すことで、お重の中がより一層華やかになります。紅白かまぼこは、見た目の美しさと共に、神聖な気持ちで新年を迎えるための象徴的な一品です。
伊達巻:知識が増え学業が成就するように
伊達巻は、卵と魚のすり身を混ぜて焼き上げた料理で、その形が書物などを巻いた「巻物」に似ていることから、「知識が増えるように」また、「学業が成就するように」という願いが込められています。
また、「伊達」という言葉は、戦国武将の伊達政宗がおしゃれであったことに由来し、「華やかさ」や「派手さ」を意味します。その華やかな見た目と鮮やかな黄色が、おせちを豪華に彩ります。同じく卵を使った「錦卵」も、その二色が「金銀」を表す縁起物です。伊達巻の甘くて優しい味わいは、子どもにも人気があるでしょう。
栗きんとん:商売繁盛を願う
栗きんとんは、さつまいもで作った餡に栗の甘露煮を合わせた、鮮やかな黄金色が特徴的な料理です。
この色は金塊や小判に例えられ、「金団」と漢字で書くことからもわかるように、金運を呼び込み、「商売繁盛」や「豊かな一年」を願う縁起物とされています。主役である栗も、山の幸の代表として「勝ち栗」と呼ばれ、縁起の良い食材として古くから親しまれてきました。その豪華な見た目と豊かな甘みで、おせち料理の中でも特に人気が高く、「金運上昇」という願いがストレートに表現された一品です。
【焼き物】海の幸で祝う縁起物
おせち料理の二の重を飾る焼き物は、主に縁起の良い海の幸が用いられます。その筆頭が、名前が「めでたい」に通じる「鯛」です。尾頭付きの姿焼きは、祝いの席に欠かせません。また、成長に応じて名前が変わることから「立身出世」を願う「鰤(ぶり)の照り焼き」も定番です。さらに、腰が曲がった姿から「長寿」を象徴する「海老の塩焼き」なども人気があります。
これらの豪華な魚の焼き物は、お重の中心となって食卓に華やかさを添えてくれます。海の神様からの恵みに感謝し、新年の幸を祈る気持ちが込められています。
鯛:物事を最初から最後まで全うする
鯛は、その名前が「めでたい」に通じることから、おせち料理に欠かせない縁起物として重宝されています。特に、頭から尾までを切り離さずに調理した「尾頭付き」の鯛は、「物事を最初から最後まで全うする」という意味や「首から上が欠けないように」という願いが込められており、祝いの席にふさわしいとされています。
新しい年の始まりに福を招き入れる象徴として、その姿は食卓を華やかに彩ります。また、昔から高級魚とされてきた鯛は、特別な日に食されるにふさわしい、贅沢な一品です。
海老:腰が曲がるまで長生きできるように
海老は、加熱すると背が丸くなる様子から「腰が曲がる年齢になるまで元気に長生きできるように」という「長寿への願い」が込められた縁起物です。また、海老の長いひげや、前にしか進まない性質は、「威勢の良さ」や「成長の象徴」とされます。さらに、飛び出した目が「めでたい」ことや「めでたし」を連想させるという説もあります。
特に立派な姿を持つ「伊勢海老」は、その豪華さから祝い膳にふさわしいとされ、おせちを格上げしてくれます。鮮やかな赤い色は「魔除け」の意味も持ち、お重を華やかに彩るえびは、「健康長寿」を祈るおせちには欠かせない存在です。
鰤(ぶり):成長と立身出世を願う出世魚
鰤は、成長するにつれて呼び名が変わる「出世魚」の代表です。関東ではワカシ、イナダ、ワラサ、そしてブリへと呼び方が変わります。このことから、武士の時代に元服や昇進で名前が変わった習慣になぞらえ、「立身出世」を願う縁起物としておせちの焼き物に用いられます。
特に西日本では、大晦日に食べる「年取り魚」として鰤が珍重されており、お正月には欠かせない食材となっています。「家族の健やかな成長」や「社会での成功」を祈る気持ちが、脂ののった美味しい鰤の照り焼きには込められているのです。
【煮物】家族の結びつきを願う山の幸
おせちの煮物は、主に三の重に詰められる山の幸を中心とした料理で、「煮しめ」がその代表格です。
れんこん、ごぼう、里芋、にんじん、たけのこ、こんにゃくなど、たくさんの種類の具材を一つの鍋で煮込むことから「家族が末永く仲良く一緒にいられますように」という「家族円満の願い」が込められています。地域や家庭によっては「うま煮」と呼んだり、鶏肉などを加えて油で炒めてから煮る「筑前煮」にしたりもします。それぞれの食材にも縁起の良い意味があり、「家庭の安泰」を象徴するおせちの基本となる一品です。
れんこん:将来の見通しが良くなるように
れんこんは、いくつもの穴が空いているその特徴的な形状から「将来の見通しが良くなるように」という願いが込められた縁起物です。穴の向こう側がはっきりと見える様子を「先のことがよく見える明るい未来」に例えています。
また、れんこんは種が多いことから「子孫繁栄の象徴」とされたり、仏教で極楽浄土の池に咲く「蓮の根」であることから「神聖な植物」とされたりもします。煮しめに入れるほか、花形に飾り切りした「花れんこん」を酢の物にするなど、その白く美しい見た目もおせちに彩を与えます。
里芋:子孫繁栄を願う
里芋は、一つの親芋からたくさんの子芋、孫芋が連なって増えていくことから「子宝に恵まれ、子孫が末永く繁栄するように」との願いが込められています。土の中で次々と芋を増やしていく様子が「家の繁栄を象徴する」と考えられました。
中でも、親芋と子芋が塊になった品種である「八つ頭(やつがしら)」は、末広がりの「八」の字が付くことや「頭(かしら)」として人の上に立てるようにという「立身出世の願い」も加わり、より縁起が良い食材とされています。煮しめに欠かせない具材の一つです。
ところ変われば中身も変わる?日本各地のユニークな郷土おせち
おせち料理は日本全国で食べられる伝統料理ですが、その中身は地域によって大きな特色が見られます。お雑煮に使う餅の形が関東と関西で違うように、おせちにもその土地ならではの食材や食文化が反映された変化があります。
例えば、海の幸が豊富な北海道では「鮭の氷頭なます」が入ったり、東北では「豆腐を使った料理」、信越地方では「くるみ和え」が登場したりします。また、祝い膳として「赤飯」や「刺身」を重箱に詰める地域もあり、日本各地で多様な郷土おせちが受け継がれているのです。
おせち料理の意味を知って、特別なお正月にしてみましょう
おせち料理に込められた意味や由来を知ることで、毎年迎える正月の食事がより味わい深く特別なものになるのではないでしょうか。一つひとつの料理には、「家族の健康」や「子孫繁栄」、「五穀豊穣」を願う先人たちの温かい祈りが込められています。最近では、伝統的なレシピに加えて、家族が喜ぶローストビーフのような新しいおかずを取り入れたり、梅の花の飾り切りで写真映えを工夫したりと「おせちの楽しみ方」も広がっています。今年のお正月は、それぞれの料理が持つ意味を語り合いながら、食卓を囲むのも素敵な時間となるのではないでしょうか。